手術前の免疫療法で3年間再発ゼロを達成
イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)とUCLH(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン病院)が主導した臨床試験「NEOPRISM-CRC」で、手術前にわずか9週間の免疫療法を行った大腸がん患者が、約3年間にわたって一人も再発していないという驚くべき結果が明らかになりました。この成果は2026年5月6日に発表され、同年にサンディエゴで開催されたアメリカがん研究学会(AACR)年次総会でも報告されています。
従来の標準治療では、手術後に数カ月間の化学療法(抗がん剤治療)を行うのが一般的で、それでも約25%の患者が3年以内に再発するとされています。しかし今回の試験では、手術前にペンブロリズマブという免疫療法薬を投与する「逆転の発想」により、59%の患者が手術時点でがんが検出されなくなり、残りの患者も小さながん組織が残っていたものの、その後33カ月間誰一人として再発や進行が見られませんでした。
この結果について、試験責任者のカイ・キーン・シウ博士は「約3年間のフォローアップで再発がゼロという事実は非常に心強く、高リスクの大腸がん患者の治療成績を改善する上で、ペンブロリズマブが安全かつ極めて有効であるという確信を強めています」とコメントしています。
9週間の治療で59%が完全寛解、その後も持続
NEOPRISM-CRC試験では、手術前にペンブロリズマブを9週間投与したところ、59%の患者で検査上がんが検出されなくなりました。この「完全寛解」は、治療終了後も長期間維持されています。
重要なのは、その後33か月(約3年)の追跡調査で再発した患者がゼロだったという点です。完全寛解した患者だけでなく、手術後にわずかながん細胞が残っていた患者も含めて、全員ががんの進行や転移なく経過しています。
通常の治療(手術後に化学療法)では、約25%の患者が3年以内に再発すると報告されています。
従来の標準治療と比較すると、この結果は驚異的です。手術前の免疫療法が、単に目に見えるがんを消すだけでなく、体内に残る微小ながん細胞まで長期的に抑え込む力を持っている可能性が示されました。
治療期間はわずか9週間。数か月に及ぶ化学療法と比べて短期間で済み、患者さんの負担も軽減できる点が注目されています。
血液検査で治療効果を予測できる可能性
研究チームは、なぜこの治療がこれほど効果的なのかを解明するため、患者の血液サンプルを詳しく分析しました。その結果、血液中から腫瘍由来のDNAが消失した患者ほど、長期的にがんが再発しない傾向が明らかになったのです。
研究の第一著者であるヤンロン・ジャン氏は次のように語っています。
「研究チームとして、個別化された血液検査を使って患者さんを非常に綿密に追跡できたことに興奮しました。血液から腫瘍DNAが消失すると、患者さんはがんが残っていない可能性がはるかに高く、これは私たちが現在目にしている長期的な結果と一致しています」
さらに、治療開始前の腫瘍組織から免疫プロファイリング(免疫細胞の状態を調べる検査)を行うことで、治療への反応を予測できる可能性も示されました。これらの検査技術が実用化されれば、「この患者さんは少ない治療で済みそう」「この方は追加治療が必要」といった判断を早い段階でできるようになり、より個別化された治療計画が立てられるかもしれません。
73歳患者の体験談「がんが溶けて消えた」
実際にこの治療を受けた患者の声も公開されています。
英国ドーセット州ポートランド在住のクリストファー・バーストンさん(73歳)は、2023年2月に定期検診で便潜血が見つかり、大腸内視鏡検査でステージ3の大腸がんと診断されました。診断直後にNEOPRISM試験への参加を勧められ、ロンドンまで通院して治療を受けることを決意。9週間にわたり3回の免疫療法を受けた後、2023年5月に手術を受けました。
「手術の結果、がんは溶けて消えていました。これは担当医の言葉です。免疫療法がほぼ即座に効果を発揮したんです。最初の大腸内視鏡検査の画像を見たとき、かなり大きな腫瘍が見えていました。決して小さなものではなく、ステージ3と診断されていたのですから」
バーストンさんは手術後の回復も順調で、副作用もほとんどありませんでした。約3年が経過した現在も再発はなく、通常の生活に完全に戻っています。
「回復は順調でした。何の問題もありませんでした。それ以来、ほぼ普段通りの体調に戻っています。今の私の主な悩みは、がんや病気ではなく年齢だけです。とても幸運だと感じています」
この体験談は、統計データだけでは見えない治療の実際の効果と、患者さんの生活の質が保たれることを示しています。
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