ゴールドマンサックス幹部がAI自動化計画を公表
ゴールドマン・サックスの幹部が、AI「ロボット」を使った業務自動化計画を発表した。New York Postが報じたもので、幹部は社内の「人間の組み立てライン」とも呼べる定型業務をAIで自動化する方針を明らかにしつつ、大量解雇は行わないと約束したという。
金融の最前線でも、ついにここまで来たわけだ。外資系金融といえば高給取りの象徴だったけれど、そのホワイトカラー業務も「組み立てライン」扱いされる時代になった。
Goldman Sachs(2023)の調査では、生成AIにより全世界で約3億人分のフルタイム雇用が代替される可能性があると試算。日本では事務・専門職での影響が大きいと予測されている。一方で、AIによって新たに創出される職種・業務もあり、純減ではなく構造変化との見方が主流。出典: Goldman Sachs「The Potentially Large Effects of Artificial Intelligence on Economic Growth」
皮肉なことに、ゴールドマン自身が以前発表した調査では、世界で3億人分の雇用がAIで代替される可能性を指摘していた。その当事者が、今度は自社で実践すると宣言したわけだ。
「人間の組み立てライン」自動化の意味
ゴールドマンサックスの幹部が使った「human assembly line(人間の組み立てライン)」という表現は、かなり生々しい。
これは要するに、定型的な事務処理を人間が流れ作業でこなしている状態を指している。金融機関には、契約書チェック、取引データ入力、レポート作成、コンプライアンス確認など、「判断は必要だけど、パターンがある」業務が山ほどある。これらを「ロボット(AI)」で自動化するという話だ。
OECD報告書(2023)は、生成AIの登場により事務・専門職を含むホワイトカラー職の代替リスクが従来予測より大幅に上方修正されたと指摘。特にコールセンター、経理、文書作成、初級コーディングが影響を受けやすい。出典: OECD Employment Outlook 2023
金融業界に限った話じゃない。日本のホワイトカラー全般に言えることで、「パターン化できる仕事」は真っ先に狙われる。野村総研の試算では、日本の労働人口の約49%が将来的にAI・ロボット等で代替可能とされている。
つまり、ゴールドマンの発言は「金融業界の話」というより、ホワイトカラー全体の未来を先取りしていると見たほうがいい。
大量解雇なしの約束は実現可能か
ゴールドマンサックスが「大量解雇はしない」と明言したのは、額面通り受け取っていいんだろうか。正直言って、これは相当難しい約束だと思う。
まず押さえておきたいのは、日本と違って欧米の金融機関は解雇規制が緩いということ。アメリカでは「at-will employment(随意雇用)」が原則で、企業は理由を問わず従業員を解雇できる。日本のように労働契約法第16条で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効」なんて厳しい規制はない。つまり、ゴールドマンサックスが本気で人を減らそうと思えば、法的ハードルは日本企業よりはるかに低いんだよね。
Goldman Sachs(2023)の調査では、生成AIにより全世界で約3億人分のフルタイム雇用が代替される可能性があると試算。日本では事務・専門職での影響が大きいと予測されている。一方で、AIによって新たに創出される職種・業務もあり、純減ではなく構造変化との見方が主流。出典: Goldman Sachs「The Potentially Large Effects of Artificial Intelligence on Economic Growth」
自社で「3億人分が代替される」と試算しておきながら「うちは大丈夫」と言うのは、ちょっと矛盾してないか。
現実的なシナリオはこうだ。自然減(定年・退職)の補充をしない、配置転換で吸収、新規採用を絞る——これらで「解雇はしてないけど、実質的に人は減ってる」という状態を作る。外資系でよくあるパターンだよね。
もしあなたが外資系金融やグローバル企業で働いているなら、今のうちに市場価値を確認しておいたほうがいい。JACリクルートメント(外資系・ハイクラス転職)のような外資系・ハイクラス特化のエージェントで、自分が今どう評価されるか聞いておくだけでも、現実が見えてくる。
金融ホワイトカラーが今すべきこと
ゴールドマンの今回の発表を見て「やっぱり来たか」と思った人は多いはず。でも、慌てて行動する前に冷静に考えたい。
日本の場合、正社員の解雇規制は強い。労働契約法第16条では「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権を濫用したものとして無効となる」と定められている。つまり、AI導入を理由にいきなりクビを切るのは難しい。ただし、これは「今いる会社」の話。新規採用は確実に絞られるし、配置転換や降格のリスクは普通にある。
現実的な選択肢は二つ。一つは「条件のいいうちに転職し、転職先では辞めない」戦略。JACリクルートメント(外資系・ハイクラス転職)のような外資系・ハイクラス転職エージェントを使って、今の市場価値が通用するうちに動く。厚生労働省の調査では、40代の転職入職率は5-7%程度で、年齢が上がるほどハードルは上がる。
もう一つは「今の会社で代替されにくいポジションを確保する」こと。AIに置き換えられにくいのは、判断・交渉・対人関係が絡む業務。資格で武装するならアガルートアカデミー(難関資格試験のオンライン通信講座)のような難関資格も選択肢だが、時間とコストは覚悟が必要。
リスキリングに過度な期待は禁物。経産省は5年で1兆円投じる方針だが、受講完了率や転職成功率の追跡データは限定的。「何となく勉強」ではなく、明確な出口戦略を持って動くべきだ。
